令和8年1月29日の市長室
市長提案理由説明書
本日は、令和8年土佐清水市議会定例会を招集申し上げましたところ、議員各位におかれましては、何かと御多用の中、御出席をいただき開会の運びとなりましたこと、心から御礼申し上げます。
早速ではございますが、1月会議の開催に当たりまして、一言御挨拶申し上げ、併せて御提案いたしました議案の概要について御説明を申し上げます。
新しい年が始まり、市民の皆様をはじめ議員各位におかれましては、健やかに令和8年の新春をお迎えのことと、お喜び申し上げます。
昨年、現職市長及び市議会議員が逮捕されるという、前代未聞の「官製談合事件」の発覚により、今なおこの小さな港町が大きく揺れ動いています。
市民の心は深く傷つき、悲しみと絶望、そして混乱が広がり、市政への信頼は失墜いたしました。
それでも多くの市民は、ふるさとを憂い、守りたいと歯を食いしばり、この難局を乗り越えようと必死に向き合っておられます。
私は、そんな市民の皆様の思いを真摯に受け止め、向こう4年間の市政運営を担わせていただくことになりました。
私の政治の原点は、地域を歩き、市民の皆様に寄り添う「現場主義」を貫くことにあります。そして「いのち・くらし・ちいき」を守り抜くことこそが、私の使命であると考えております。
これまで歴代の市長が築いてこられた市政を継承しつつも、新たな視点で時代の変化に柔軟に対応し、全身全霊で市勢浮揚に邁進する所存です。
何卒、皆様方の御理解と御協力を賜りますよう心からお願い申し上げます。
次に、市政運営や基本姿勢に対する政策の方向性について、私の所信を申し上げます。
まず、本市の最重要課題は人口減少問題であります。定住人口は自然減と社会減の両面から減少が続いております。
本市の合計特殊出生率は1.2近くで推移をしており、人口を維持するために必要とされる置換水準2.07とは大きな乖離がございます。
このことから、当面の間は人口減少が続くことを前提とした上で、実効性ある施策を力強く進めていかなければなりません。
推進に当たっては、人口概念を「定住人口」のみで捉えるのではなく、「関係人口」や「交流人口」を組み合わせた重層的な取組が必要であると考えています。
具体的には、若年層の市外流出に歯止めをかけ、UIターンの移住を促進します。さらに「地域みらい留学」につながる保育園留学や小中学校の短期留学、観光振興を強力に推進し、これら三つの人口が融合する仕組みを構築することで、人口減少問題に正面から向き合います。
本市経済は現在、人手不足に加え、物価高騰による消費の冷え込みや経費増に伴う家計負担の増大など、極めて厳しい状況にあります。
この本市経済を回復軌道に乗せるためには、成長への挑戦と若者の定着・増加による「好循環」を生み出すことが不可欠です。
当面は第一次産業と観光産業を基軸に、人口減少下でも持続可能な成長を実現するため、市際収支を意識しながら、適時適切に「稼げる産業」に向けた政策を遂行してまいります。
また、地域には年齢や性別、疾病や障がいの有無など、様々な背景を持つ方々が生活されております。それぞれ異なった生活環境の中で、誰もが自分らしく、住み慣れた地域で安心して暮らし続けられる環境をつくらなければなりません。
障がいのある方や高齢者が生き生きと活動できる環境整備をはじめ、地域で支え合う医療・福祉・介護サービスの提供体制を構築し、共生社会の充実につなげてまいります。
具体的には、遠隔診療等の取組を推進し、地域医療体制を磨き上げ、移動確保が困難な地域においても医療を提供できる仕組みづくりを創出してまいります。
「人生100年時代」を見据え、安心の基盤となる健康づくりや生きがい対策について積極的に取り組み、健康寿命の更なる延伸を図ります。
特に、社会参加や介護予防事業を強化し、「元気人を育む」を施策の柱に据えて、各事業を実施してまいります。
教育分野においては、ICT(情報通信技術)の活用による教育環境の変化が加速しています。本市においても、オンライン授業の展開や授業でのAI活用など、全国水準の教育環境の整備と学力向上に努めてまいります。ICT活用が全国的な潮流となっていることを踏まえ、今後とも国や県の動向を注視し、教育現場へのICT導入を後押しすることで、教育環境のDX化を推進してまいります。
南海トラフ地震については、新たな国の被害想定に詳細なデータを加味した「高知県版の被害想定」が示されており、本市には国内最大級となる最大波高34.5メートルの津波が襲来すると想定されています。
南海トラフ地震の切迫度が年々高まる中、能登半島地震の教訓を踏まえ、「命の道」の確保や「電源危機管理」をはじめとする、災害に強いインフラ整備を加速させなければなりません。
具体的には、国道321号線のバイパス化、地域循環型エネルギー供給システムの構築、被災者ニーズに即した避難所の確保など、「いのち・くらし・ちいき」を守るための事前防災対策を強力に推進してまいります。
健全な財政基盤の確立に向けた道筋については、全体的にみると本市の経常収支比率は約90%であり、投資的経費が限定されるなど、財政の硬直化が進んでいます。
未来への投資となる成長戦略を確実に実行するためには、経常経費を可能な限り圧縮して、投資的経費の比率を高めていくことが不可欠です。
財政規律を厳守し、公債費負担比率を注視しながら、歳入と歳出のバランスが取れた行財政運営を行います。「最小の経費で最大の効果」を上げる行政執行に努め、持続可能な市政の実現を目指します。
さて、本市におきましては1月3日、市民文化会館にて「成人式」が開催されました。
新たな門出を迎えられた皆様が、失敗を恐れないチャレンジ精神と思いやりを大切にし、土佐清水市への愛着と誇りを胸に自らの人生を切り拓いていかれることを、心から願っております。本市の未来を担う若者へ、この場をお借りして心からのエールを送ります。
また、1月11日には、清水小学校校庭にて、新春を彩る「土佐清水市消防出初式」が挙行されました。消防団員の皆様をはじめ、216名の皆様が集結し、士気高く執り行われました。
市民の生命と財産を守るため、昼夜を問わず献身的に尽力されている消防職員・団員の皆様に心からの敬意を送り、永年にわたり御尽力いただいた皆様へ、永年勤続功労賞及び感謝状等を贈呈し、感謝の誠を表したとお聞きしております。改めまして、私からも関係者の皆様に対しまして御礼申し上げます。
消防を取り巻く環境が複雑多様化する一方で、その重要性は年々高まっています。
火災や近年頻発するゲリラ豪雨、そして発生の切迫性が指摘される「南海トラフ地震」などの災害に対し、迅速かつ適切に対応するため、地域防災力の充実・強化を図ることは、私どもに課せられた重要な責務と考えています。
今後とも関係機関と密に連携し、減災・防災対策に全力で取り組んでまいりますので、皆様の更なる御理解と御協力をお願いいたします。
それでは、御提案申し上げました案件につきまして、概要を御説明申し上げます。
報告第1号及び報告第2号は、専決処分した事件の報告についてであります。
報告第1号は、令和7年度土佐清水市一般会計補正予算(第7号)について、衆議院の解散に伴い、令和8年2月8日に執行されることとなりました衆議院議員選挙につきまして、事前準備を早急に行う必要があることから、関連する予算として1,922万8千円を計上するもので、地方自治法第180条第1項の規定により、1月21日付で専決処分をいたしましたので、これを報告するものであります。
報告第2号は、現在休校中の下川口小学校が2021年6月に発行した学校通信で使用したイラストが、イラスト作成者の許可なく使用したことによる無断使用の損害賠償請求があったもので、相手方との和解及びイラスト無断使用にかかる損害賠償額が決定しました。それに伴い地方自治法第180条第1項の規定により、1月9日付けで専決処分をいたしましたので、これを報告するものであります。
議案第1号は、令和7年度土佐清水市一般会計予算に係る補正予算案であります。
議案第1号「令和7年度土佐清水市一般会計補正予算(第8号)」は、物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金事業として、本市の地域電子通貨を活用し、令和8年3月1日に一人15,000円分の電子通貨の一斉給付と現在実施している電子通貨のチャージ時の5%加算(プレミアムポイント)継続に係る経費、1億9,534万3千円、生活保護費について医療扶助が想定を上回っていることから、1,810万円、宿泊型多文化共生コミュニティ施設の工事請負費については、昨年の官製談合事件の影響により工事の遅れが発生したこと等を理由とした経費増額により398万2千円を計上しております。
以上によりまして、歳入歳出それぞれ合計で2億1,742万5千円を補正計上しております。
議案第2号は、令和8年4月1日から宿泊型多文化共生施設の事業開始に向け、必要となる設備や運営及び当該事業の運用に関する基準を定める条例を新たに制定するものであります。
議案第3号は、宿泊型多文化共生コミュニティ施設改修工事の建築主体工事において、議会の議決に付すべき契約及び財産の取得又は処分に関する条例第2条の規定に基づき、当該工事請負契約金額を変更することについて、地方自治法第96条第1項第5号の規定により議会の議決を求めるものであります。
以上をもちまして、議案提出に当たっての私からの説明を終わります。
なお、詳細につきましては、所管課長から説明をいたしますので、何卒御審議の上、適切なる議決を賜りますようお願い申し上げます。
令和8年1月29日
土佐清水市長 橋本 敏男