弘法大師の足跡と逸話を絵巻物としたものには5つの系統があると言われ、金剛福寺の高野大師行状図画は、そのうちの元応元年(1319)成立の元応本10巻を写した元応系本に分類され、本来10巻あるべきところですが何らかの理由で、現在は10巻の内の第1,2,3,4,9巻の計5巻が残されています。
また、神奈川県川崎市の平間寺が第6巻を所蔵しております。残りの第5,7,8,10巻の計4巻については、大阪府の個人宅に所蔵されていましたが、現在所在不明となっています。
幸いなことに昭和38年、東京国立文化財研究所開所記念に行われた稀観絵巻物展観に、この4巻が出陳された際、全ての写真撮影が行われ所蔵されており、その写真確認で第10巻の奥書に高野山金剛手院の権少僧都祐宝が願主となって応永23年(1416)に完成し、詞書は心空院の善澄、絵は画僧道周が担当したと記されていることが確認されています。
金剛福寺の5巻については錯簡や欠脱の箇所が多いものの、当時60歳の道周の画技はすばらしく、元応系本の早期の優品として、また詞絵筆者及び願主とその制作年代が明らかで、他の基準となる大変重要かつ貴重な史料です。
詳細情報
高知県指定文化財 | |
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種別 | 有形(絵画) |
指定年月日 | 昭和44年8月8日 |
所在地 | 土佐清水市足摺岬字足摺山214番1 |
所有者等 | 金剛福寺 |
形状 | 縦 33.2cm 横 44.0cm |
問い合わせ先 | 生涯学習課 |
電話番号 | 0880-82-1257 |
メールアドレス | syougai@city.tosashimizu.lg.jp |